FAQ(遠赤外線)


 

Q:20 遠赤外線は物体の中にあまり浸透しないのに、なぜ内部加熱が得意なのですか。

A:遠赤外加熱を用いると、他の加熱方法に比べ物体内部の温度が速く上がるという傾向があることは以前から知られていました。そのため、これに電子レンジのイメージを当てはめ「遠赤外線は内部まで浸透するから深部が速く暖まる」というような説明が成されたことがあります。その後、遠赤外エネルギーは、金属以外のほとんどの物質において、表面から高々数百ミクロンまでの間でほとんど吸収されるので、それ以上浸透のしようがない、ということが明らかになりました。
  欧米を中心とした近赤外ヒータを利用している人々からは、近赤外は遠赤外よりは内部に浸透するので、内部加熱には近赤外の方が有効である、という解釈までなされているようです。これは大きな誤解です。

  物質の表面層でエネルギーのほとんどが吸収される遠赤外線は、無駄がありません。また同時に、表面から内部への熱流が高いレベルで供給され、しかもそのレベルが加熱を続けている間、ほとんど低下することがありません。このため遠赤外加熱では、物体深部の昇温が熱風加熱などに比し格段に速いのです。内部の昇温には、浸透深さが効いているのではなく、内部に送り込める熱流の絶対的な大きさが効いているのです。
  ちなみに熱風加熱など熱源との接触による加熱では、加熱が進むと物体の表面温度が上がり、熱源との温度差がなくなってくるので、熱流はどんどん低下してしまうというジレンマがあります。しかも、熱源に触れている物体表面はすぐに熱源温度に近づくため、この熱流低下は比較的早くから起こります。表面温度はすぐに上がりますが、内部温度の上昇は大変遅く、その温度差は大きなものになります。遠赤外加熱はその正反対ですから、より均一な加熱が出来るのです。

  一方近赤外線は、遠赤外線に比べ物質表面での吸収が低い分だけ無駄が生じます。また厚みが薄い物体では、吸収されずに透過してしまう場合もあります。また浸透するといっても表面から指数関数的に吸収されるので、表面加熱に変わりはなく、浸透深さの違い自体が深部の加熱具合を大きく左右すると考えるには無理があります。


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